服部平次と遠山和葉、大阪弁とすれ違いのラブコメ回セレクション
工藤新一と毛利蘭が正体を巡ってすれ違うのに対し、大阪の幼馴染コンビ・服部平次と遠山和葉は、また違ったじれったさを見せてくれます。平次は名探偵として頼れる一方、和葉が絡むと途端に不器用になり、告白しようとしては何度も機会を逃す——その繰り返しがファンにはたまらない魅力になっています。
今回は「出会いと絆」「すれ違いの告白未遂」「恋のライバル、参戦」「それでも近づく二人」という4つのテーマで、平次と和葉の関係を追いかけてみたいと思います。
出会いと絆編:原点にある強い結びつき
#118「浪花の連続殺人事件」
平次に誘われて大阪観光中のコナンたちが、ビルから死体が降ってくるという連続殺人事件に巻き込まれる回ですが、この物語最大の見どころは遠山和葉の初登場です。蘭を平次の彼女と誤解した和葉が最初はきつく当たる場面から、子供の頃に平次と和葉が手錠で遊んで外れなくなったという逸話、そしてその時の鎖の欠片が入ったお守りを和葉が平次に持たせているという設定まで、二人の絆の深さが一気に描かれます。このお守りは終盤、コナンを守る重要なアイテムとしても機能します。
#166-168「鳥取クモ屋敷の怪」
「蜘蛛屋敷」と呼ばれる旧家で当主が発見され、事件が連鎖していく3話構成です。和葉が事件に巻き込まれて行方不明になり、糸に絡まった状態で発見される場面や、スタンガンで火傷を負った和葉に平次が動転しながら駆け寄る場面から、平次にとって和葉がどれだけ大切な存在かが伝わってきます。甘いやり取りというよりは、事件の緊迫感の中でこそ滲む心配ぶりが見どころの回です。
#222-224「そして人魚はいなくなった」
人魚伝説が残る島を舞台にした連続殺人事件です。行方不明の父親を捜して森に入った平次が崖から落ちかけ、助けようとした和葉も巻き込まれそうになる場面が最大の見どころ。平次は和葉の腕をつかみますが自分の支えが折れかけ、和葉は隠し持っていた矢尻で平次の手を傷つけてでも手を離させようとします。それでも平次は出血しながら決して手を離さない——お互いを想う強さがまっすぐに伝わってくる名場面です。
すれ違いの告白未遂編:何度も逃すタイミング
#323-324「服部平次絶体絶命!」
東京へ向かうはずだった平次と和葉が連絡不能になり、連続放火事件の犯人に監禁されていたことが判明するアークです。屋根裏に監禁された絶体絶命の状況で、平次が長らく胸に秘めていた想いを和葉に伝えかけますが、コナンたちの救出が入りタイミングを逃してしまいます。事件解決後、和葉に「さっき何を言おうとしたのか」と聞かれた平次は、はぐらかしてごまかしてしまう、じれったさの効いた一本です。
#763-764「コナンと平次 恋の暗号」
コナンたちが拾った暗号を大阪の平次と協力して解読していく回です。後編で、待ち合わせ場所にいた男が和葉と親しげに話しているのを見た平次が露骨に不機嫌になる場面があり、これが平次自身の気持ちを自覚するきっかけとして描かれています。素直になれない平次らしい、ヤキモチのわかりやすさが光る一幕です。
#830-832「ゾンビが囲む別荘」
貸別荘を舞台にした連続殺人事件が主軸のアークですが、事件解決後のオチが秀逸です。バイクで和葉を送る平次が告白を試みるものの、居合わせたゾンビ仮装のエキストラのせいで雰囲気が台無しになり、あえなく断念してしまいます。推理では誰よりも頼れるのに、恋愛となると途端に間の悪さを発揮する——平次らしいコミカルな一面が楽しめる回です。
#872-874「コナンと平次の鵺伝説」
徳川埋蔵金の発掘を手伝うため訪れた村で、伝説になぞらえた殺人事件に巻き込まれるアークです。平次がこの依頼を引き受けた本当の理由は、雰囲気の良い場所で和葉に告白するためだったとされますが、今回も告白は不発に終わります。そしてラストのエピローグでは、平次の活躍記事を読みながら意味深なつぶやきを漏らす少女がワンカットだけ登場します——のちにこのコラムでも大きく取り上げる、大岡紅葉です。
#983-984「キッドvs高明 狙われた唇」
タイトルだけ見ると平次和葉回のように思えますが、実際は鈴木ミュージアムの至宝を巡る怪盗キッドと諸伏高明警部の対決が主軸です。前編では、新一が清水寺で蘭にキスしたという噂を意識した平次が、それ以上にロマンチックな告白を計画する様子が描かれます。ただし後編で平次が壁ドンしかけた相手は、実は和葉に変装したキッド。すんでのところで本物の蘭が現れて気まずい空気になり、さらにその一部始終を本物の和葉が目撃してしまうというオチで、実際のロマンスは成立していません。タイトルの印象だけで判断すると誤解しやすい回です。
恋のライバル、参戦編:大岡紅葉の登場
平次に想いを寄せる令嬢・大岡紅葉が本格的に絡んでくるのがこの時期です。紅葉は競技かるたの実力者で、幼い頃に平次にかけられた何気ない一言を「将来の約束」だと思い込んだことがきっかけで、彼を一途に想い続けています。和葉のことも恋のライバルとして強く意識しており、ここから三人の関係に新しい緊張感が生まれます。
#885-886「謎解きは喫茶ポアロで」
大阪から来た平次・和葉と共にイルミネーションを見る予定が、喫茶ポアロでの事件に発展する回です。イルミネーションを見上げながら和葉が思わず本音をこぼす場面がある一方、エピローグでは大岡紅葉が電話越しに「将来の伴侶として当然」といった趣旨の発言をしており、三角関係の火種がくすぶり続けていることを示しています。
#1024-1025「大岡紅葉の挑戦状」
紅葉からの挑戦状をきっかけに、平次・和葉・蘭・コナンが集められる回です。暗号解読の速さを競う勝負に「負けたら言うことを聞いてもらう」と宣言する紅葉に対し、和葉は結婚を迫られるのではと動揺し、蘭に助けを求めるほど焦ります。紅葉の余裕と和葉の焦りが対比的に描かれ、事件解決後には平次が景勝地で告白を試みるものの、またしても状況に阻まれて不成立に終わります。
#1135-1136「大岡紅葉の甘い罠」
平次をモデルにした舞台の打ち合わせで京都を訪れたコナンたちが、平次の”許嫁役”として現れた紅葉に振り回されるアークです。紅葉が偶然を装って平次に身体ごと接近する場面や、動揺のあまり手元が震えてしまう平次の様子が描かれる一方、離れた場所にいた和葉はその現場を目撃してしまい、本気で怒りをあらわにします。三人の関係がもっとも直接的に描かれる回のひとつです。
それでも近づく二人編:現在地
#1085-1086「不吉な縁結び」
東京に来た和葉と共に、縁結びで知られる神社を参拝する中で事件に巻き込まれる回です。実は平次自身も正体を隠してこっそり縁結び祈願に訪れており、同じ場所で同じ願いを抱いていたことがわかります。両想いなのに気づかずすれ違う、この二人らしい微笑ましい一幕です。
#1178-1179「鷲雄山の紅蓮髑髏」
蘭が計画した平次・和葉の応援旅行がきっかけで訪れた山寺で、怪異の伝説をめぐる事件に発展するアークです。事件解決後、夕焼けの中で二人きりになった平次が今度こそ告白するかと思わせますが、口にしたのは何気ない一言だけ。新幹線の中で告白し損ねたことに一人肩を落とす、お決まりのすれ違いオチで締めくくられます。
まとめ
大阪弁でまくし立てながらも肝心なところで言葉を飲み込んでしまう平次と、それに気づいていながら気づかないふりをする和葉。二人の関係は、事件のたびに絆を深めながらも、告白まではなかなかたどり着けません。そこに恋のライバル・大岡紅葉が加わったことで、すれ違いの構図はより賑やかになりました。
実はこの後、原作の物語が進んだ先で、二人の関係にはついに大きな進展が訪れます。アニメでの続報が待ち遠しいところですが、その日までは、じれったいすれ違いの数々を楽しみながら見守りたいと思います。
次回は黒の組織セレクションをお届けする予定です。あわせてお楽しみください。