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アニオリ名作セレクション

『名探偵コナン』は原作漫画のストックを大きく上回る話数をアニメが放送してきたため、アニメスタッフが一からストーリーを組み立てる「アニメオリジナル(通称:アニオリ)」回が数多く存在します。中には原作に負けない完成度でファンの間で語り継がれるものも少なくありません。

今回は、ホラー・サスペンス、法廷ドラマ、特撮パロディ、日常のちょっとした謎まで、ジャンルを問わず個人的に思い入れのあるアニオリ回を幅広く集めました。客観的な人気ランキングというより、好みの色が強いセレクションだとご理解ください。


ホラー・サスペンス編

#61-62「幽霊船殺人事件(前編/後編)」(1997-06-02/06-09)

テレビシリーズで初めて前後編構成が採用された、記念すべきアニオリ第一号です。7年前に金塊を積んで沈んだはずの小型船が浜に打ち上げられ、幽霊船の噂で町おこしを企む村に小五郎たちが招かれます。コナンが犯人と対峙する洞窟のシーンでは劇伴「君がいれば」が流れ、同年公開の劇場版「時計じかけの摩天楼」を思わせる緊迫感が話題になりました。正体不明の不穏な空気を最後まで貫くホラー演出が見どころです。

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#150-151「自動車爆破事件の真相(前編/後編)」(1999-06-28/07-05)

小五郎の教え子との再会直後、目の前で車が爆発し、教え子の妹が身代わりのように犠牲になるという衝撃的な導入から始まる回です。狙われていたのは教え子自身だったと判明し、交換殺人の疑いが浮上する中で真犯人を追い詰めていきます。教え子のために普段以上の執念を見せる小五郎の姿が印象的な一本です。

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#184「呪いの仮面は冷たく笑う」(2000-03-13)

「呪いの仮面の使者」を名乗る人物からの不穏な警告文をきっかけに、仮面収集家の女性が「仮面の間」で大量の仮面に埋もれて惨殺される、シリーズ屈指のホラー演出回です。飾られた200枚の仮面は、才能を妬まれ地位も財産も奪われた悲劇の彫刻家の遺作という設定で、密室トリックの謎解きとあわせて「遅れてきた復讐」の苦さが物語に深みを与えていると評されています。

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蘭の推理編

#196「見えない凶器 蘭の初推理」(2000-06-26)

タイトル通り、蘭が単独で事件の真相にたどり着く初めての回です。体調不良を訴える花屋の女性と、その様子が不自然な夫を見て違和感を覚えた蘭が、コナンの手を借りずに保険金殺人の「見えない凶器」の正体を突き止めます。放送から20年以上経った今でも「蘭のアニオリ回では最高峰」と評されることが多く、新一との精神的な距離を縮めたいという蘭の思いが推理の原動力になっている点も魅力です。

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法廷ドラマ編

#264-265「法廷の対決 妃VS小五郎(前編/後編)」(2002-01-14/01-21)

蘭の母・妃英理が主役を務める「法廷の対決」シリーズの記念すべき第一弾で、以降シリーズ化される人気企画の原点にあたります。妃が担当する被告のアリバイの鍵を小五郎が握っていたことから、公判当日には小五郎が検察側の証人として法廷に呼び出されるという皮肉な展開に。弁護側の切り札のはずが敵側に回ってしまう構成の妙が、この回最大の見どころです。

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日常のちょっとした謎編

#225「商売繁盛のヒミツ」(2001-02-19)

少年探偵団の同級生・倫太郎から「家に居座る怪しい男がいる」と相談を受けるところから始まる回です。男の正体は5年前に盗んだ宝石を実家の店の地中に隠しており、店を繁盛させて改装工事の口実を作ろうとしていた──というコミカルな企みが明かされます。犯人の計画があまりに杜撰なせいでコナンの推理が珍しく外れ、逆に光彦をはじめとする少年探偵団の推理が的中するという「あべこべ」な構成がファンの間で「神回」と呼ばれる所以です。

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#829「不思議な少年」(2016-08-13)

米戸橋周辺でのUFO目撃情報をきっかけに、少年探偵団がUFO観察に出かける回です。おもちゃ屋の店主と借金取りの男を巡る事件が、実はUFO騒動と地続きだったという構成の妙が光ります。ドラマ「福家警部補の挨拶」の原作者としても知られる大倉崇裕氏が新たに脚本参加した回のひとつで、昔ながらの雰囲気を大切にしたBGMの使い方が好意的に受け止められています。

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過去と現在をつなぐミステリー編

#905-906「七年後の目撃証言(前編/後編)」(2018-06-23/06-30)

小五郎・コナン・蘭が訪れたペンションで、かつて特撮番組「彗星仮面ビューン」で漫才コンビを組んでいた片割れの遺体が発見される回です。宿泊客の少女が7年前に目撃した「覆面の強盗殺人事件」の記憶と、目の前の事件が静かにつながっていきます。王冠ゲーム、ビール王子、特撮ヒーローの仮面、7年前の目撃談──一見バラバラに見える要素がどう1本の線に収束するかが見どころで、サムターンの大きさや閂の位置まで検証する密室トリックの丁寧さも光ります。

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#979「探偵を引きずり回す」(2020-08-29)

「大切なブローチを盗んだ。取り返したければあの世まで来い」という犯人からの手紙をきっかけに、小五郎たちが指定された場所を次々と転々とさせられる回です。小五郎が2年前に自ら解決した事件が今回の依頼と関わっていたことに気づく展開もあり、放送当時はSNSで「今週のコナン面白かった」と好意的な反応が多く見られた一本です。

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#999「迷惑な親切心」(2021-02-27)

居酒屋で「自分の親切話」を自慢げに語るサラリーマン・草野が、実はその”おせっかい”のせいで周囲に取り返しのつかない迷惑をかけていた──という皮肉の効いた導入から始まる回です。親切心という名の悪意をまき散らす被害者、親切心で妹を失い犯行に走った犯人、親切心が仇となり職を失いながらも思いとどまる第三者という三者三様の構図が、日常に潜む悪意を丁寧に描いていると評価されています。

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大型企画編

#965-968「大怪獣ゴメラvs仮面ヤイバー(序/破/急/結)」(2020-01-04〜01-25)

読売テレビの新社屋完成を記念して制作された、正月特番の4話連続大型アニオリです。特撮映画「大怪獣ゴメラVS仮面ヤイバー」の記者会見に出席した小五郎たちの前で、プロデューサーの米倉が殺害される事件が発生。犯人の逃走中の車が突然爆発するなど、大阪・京都の両府警を巻き込む規模の大きな展開が続きます。脚本は劇場版「から紅の恋歌」「紺青の拳」を手がけた大倉崇裕氏で、特撮パロディとしての作り込みの細かさもファンから高く評価されています。

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原作へのオマージュ編

#1142-1143「乱歩邸殺人事件(前編/後編)」(2024-11-16/11-23)

江戸川乱歩生誕130年を記念したコラボ企画で、舞台は立教大学に実在する「旧江戸川乱歩邸」です。少年探偵団が小林先生の引率で乱歩邸を訪れたところに事件が発生し、「乱歩会」のメンバーが次々と犠牲になっていきます。鎌仲史哉監督による彩度を落とした特別な映像処理で「大物感」を演出しているほか、後編では犯人の爪に残った血の跡や倒れた蝋燭の位置からコナンが真相にたどり着く手がかり読解も見どころです。脚本は劇場版「100万ドルの五稜星」の大倉崇裕氏が担当しており、コナンの名前の由来でもある江戸川乱歩へのオマージュが随所に散りばめられています。

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まとめ

ホラー、法廷劇、特撮パロディ、日常のちょっとした皮肉──アニメスタッフが原作の枠を離れて自由に腕を振るったアニオリ回には、原作重要回とはまた違った魅力が詰まっています。特に「大怪獣ゴメラvs仮面ヤイバー」のような大型企画や、「乱歩邸殺人事件」のような節目の記念作は、アニメならではのお祭り感が味わえる一本です。

次回は劇場版の青山先生が書いた原画セレクションをお届けする予定です。あわせてお楽しみください。